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2011.12.02

新入り

不器用で頓珍漢で、ものすごくタイミングが独特な不思議な新入社員がいます。

当然、仕事に関してもバリバリ出来るという感じではなく、他の従業員たちとも良好なコミュニケーションが築けないまま、行く部署行く部署でやっかいもの扱いされたらい回しになる始末でした。

しかし、そんな彼もそれなりに経験を積んだある程度の器を持つ上司の下に配置し、辛抱強く活かしてあげたところ、最近ではみるみる良くなってきました↗

生来の間の悪さからくるチグハグ加減やスピーディな機転は期待できないものの、そんなものはハナから期待しなければそれほど気にならないものなのです。

そして本日、その彼が、ワタクシの事務所を訪ねてきました。どうやら年末の「保険控除」の用紙を持参したようです。

訛りの強いイントネーションで彼は話しかけてきます。

『お疲れ様です。持ってきました』
「何を?」
『あ、あの、紙を持ってきました』
「何の?」
『あ、あの、これです』
「どれどれ・・・」
『あ、あと、印鑑を事務所に置いておくようにと○○さんから言われまして』
と言いながらハンコを手渡してくる彼。
「印鑑?何も聞いてないけど」
『あ、あの、どうたらこうたら・・・』
「今の説明、全く理解できへん」
『あ、あの、ちょっと電話してきます』
電話を終えて帰ってくる彼。
「で?」
『あ、あの、なんちゃらかんしゃら』
さっきよりはマシな説明を受けたので理解できたワタクシ。
「では、ハンコ預かっとくわな」
『はい、お願いします』
「ちょっと待って。この保険控除の用紙、会社の住所間違ってる。ちょうどハンコもあるし、この新しい紙に書きなおしてハンコ押して」
「あ、分かりました」
と言って、用紙とハンコを受け取る彼。

書き直してもらってる間、やりかけの仕事に戻るワタクシ。どんだけ時間掛かんねんというくらい時間を掛ける彼。

どうやら書き終えた様子ですが、なにやらゴソゴソしている彼。何か探し物をしているようです。十中八九、さっき返したハンコを探してるのは分かっていたワタクシですが、一応訊いてみる。

「どうした?何探してる?」
『あ、あの、どうやらハンコを郵便局に忘れてきたようです』

ちょっと待て。いや、ホンマにちょっと待ってくれ。
あのな、さっきまでワタクシとオマエとの間でハンコは何往復した?めっちゃ行き交ってたやん。いや、そもそもオマエはハンコ渡しにここへやって来て、その上でさっきまでのワタクシとのやりとりがあったわけやろ?それが何で郵便局に忘れたになるわけ?

ハトかぁ!

心からそう叫びたかったですが、ここはグッと堪えて、

ワタクシ、「いや、さっきまであったやん。ポケットとかにあるんちゃうん?」
ポケットを探りながら彼、『あ、ありました』

どうにもこうにもずぅぅぅっとこんなペースな彼ですが、なぜか憎めないんです。

それは彼がたまぁぁぁにこんな発言をするからなんです。

ようやくハンコを押し終えて帰ろうとする彼。ワタクシに向かって一言。

『あ、あの、髪、切りましたか?』

なんで、そこは気がきくんだ?(うむ、確かに切った)

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